『アシェットデセール』に魅せられて ーNEW LIGHT パティシエの新しい光ー
ほぼ毎月行われ、多くのお客様の心を掴んできたNEW LIGHTの『DESSERT COURSE & DRINK PAIRING』。今回1月に行われた『お豆と柑橘』は、『DRAWING HOUSE OF HIBIYA』より移籍したパティシエ・打越が担当しました。森井の背中を見て育つ彼女のデザートコースとは?
福と地元愛が詰まったデザートコース
Amuseとして『白花豆と虎豆のスープ』、Grand dessertには『柑橘フロマージュ』、『お豆と百合根』、お茶菓子として『大納言小豆のひとくち最中』が登場した『お豆と柑橘』コース。
打越: 1月のコースということで新年、どうか皆様に福が訪れますようにと、縁起のいい食材を使用しました。
『柑橘フロマージュ』には和歌山県産の「邪払(ジャバラ)」を使用。書いて字の通り邪気を払う縁起のいい食材です。さらに、近年ではジャバラの皮に含まれる「ナリルチン」という成分がアレルギー抑制効果があるとのことで、花粉症対策などに注目されているんだとか。Amuseの『白花豆と虎豆のスープ』は寅年なので...と、打越のアンテナの広さとチャーミングさを感じるコースに。そして、打越が特に悩んで考案したのが『お豆と百合根』。北海道出身の打越は、北海道産の百合根を今回のコースに入れたいと思いがあったそう。
打越: 百合根大好きなんです。調理法として素揚げしたものが特に。その百合根を活かせる一皿を...と悩みました。百合根に合う豆を、と考えても豆にもすごい種類がある。豆感が出過ぎても百合根感が出過ぎてもいいバランスにはならない。全部を食べた時の味を計算して、黒豆やきな粉、クリームに至るまで甘さを控えめにしてあるんです。
美しい盛り付けは百合根と豆から連想した「山」がモチーフになっているそう。打越自身が熱々のフリットが好きで同じように味わってほしいとあらかじめ準備せず、目の前で調理。揚げたての状態で提供されました。全体を通し、豆の甘さと柑橘のさっぱりとした味わいでほっこりと幸せな気持ちになった本コース。一皿一皿丁寧につくられ、打越の人柄が感じられる優しさ溢れるコースにはお客様にも好評で「あなたの次のコースはいつ?」と聞かれるほどに魅力あふれる仕上がりになっていました。
『アシェットデセール』を手がけたい
実家がレストランの打越。幼少期、レストランで働くパティシエのつくったアップルパイを食べて、こんなに美味しいデザートがあるのか!と感動したそう。そしてパティシエの道へ。専門学校を卒業した後は、ブライダルレストランに就職。そしてアシェットデゼールと出会い、単身上京。二度目の感動を味わった『JANICE WONG』で働くように。
打越: 目の前で完成されていくデザートたち。今ここでしか味わせないデザートの美味しさに震えました。抜きたてのアイスがこんなに美味しいなんて...。
『アシェットデセール』を自分も手がけたいという想いは強く、残念ながら『JANICE WONG』は運営会社であるANAフーズとの共同事業契約の満了により閉店してしまいましたが、それでもアシェットデセールができるお店を探していたそう。その中で出会ったのが『DRAWING HOUSE OF HIBIYA』。当時、森井が入社したことでデザートコースを提供するようになっていました。その後、『NEW LIGHT』に移籍し、森井のコースの一皿を担当するなどの経験を経て、昨年11月自分が手がけるコースを提供するように。
打越: 無駄に完璧すぎるところがあるので、もっとできたんじゃないかとか、反省することはあります。デザートコースは目の前にいらっしゃるお客様とのコミュニケーションも大切なので、つくることばかりではなく、話すことも日々勉強です。
いつか自分のお店を
打越: アシェットデセールにこだわる理由は自分が味わったあの感動をお客様にも届けたいという想い。インターネットとか見ると今デザートの情報たくさん出てくるじゃないですか。こんな風なやり方あったか!とか結構思うんですよね。勉強になりますし...、そして悔しい。だから、自分のやりたいことを自分でできる。そんなパティシエになりたいです。今この時この瞬間、ここでしか味わえないデザートを提供したいです。
すでに4月のデザートコースを担当することが決まっている打越。着実に実績をつみ、自分のデザートも表現を模索し続ける。そんな打越の最終的な目標は地元北海道でカフェを営むことだそう。『NEW LIGHT』にはバリスタもソムリエもいるので、時間が空いた時にはコーヒーの種類や機器についても教わっているんだとか。
打越: 今の自分の経験を活かしながら、アラカルトでアシェットデセールを出したり、コーヒーも自分で入れて。自分のお店を持ちたいです。
自分と戦い続けながらしっかりと成長する打越。そんな打越を見守り続けてきた森井。同じ想いでお客様と向き合うからこそ『NEW LIGHT』のデザートは進化し続ける。
岩崎: 打越が自分のやりたいことにチャレンジして、でも最初はうまくいかなくて悔しくて泣いたりする姿も見てきたんですね。自分一人でデザートコースを担当する大変さというのはやっぱりやらないとわからない。でも、やったからこそ味わえる達成感と成長がある。後輩の成長は喜びですね。喜びとやりがい。後輩が成長してくれるからこそ、自分もさらにやりたいことにチャレンジできる。いいチームになっていってると思います。